本成寺

当山は身延山第17世慈雲院日新上人を開山に戴き、富田（月山）城主堀尾吉晴の家老牧志摩守によって、天正年間に開創されたものである。慶長16年城が広瀬から松江に移った際、寺も城と共に移転するに止むなきに至った。然し土着の檀信徒は当地に止まり法灯を守り続け本城寺と称し、松江に移転したのが慈雲寺であり、共に啓運山と称し、開山開基も同一である。
江戸時代に至って広瀬松平藩の帰依篤く、特に9代藩主直諒公は天保10年消失した堂宇の再建に多大の貢献をし、特に今に残る本堂の格天井の画はお抱え画師堀江友声の筆に依り公の寄進したものである。初代藩主近栄公室了達院殿（墓は平賀本土寺）、3代藩主近朝公室宝積院殿、4代藩主側室無染院殿等の位牌が安置されている。本堂に接して勧請する寿福円満稲荷大明神は、往古裏山々頂に在りしが奇瑞が顕じた為、現在地に移し、朝夕に法味を捧げる事とした。現在も霊験あらたかで、日夜参詣者が多く、殊に毎年旧2月の初午祭は大変な賑わいを見せている。
当地は戦国大名尼子氏の本城跡である月山富田城址を始め、尼子と毛利の戦跡等史跡を多く存し。近くには鷺の湯温泉・安来節演芸館・足立美術館（車で3分）・加納美術館（車で13分）等観光にも恵まれた地でもある。