常満寺

正応4年（1291年）、信州善光寺において自らに縁のある土地を求めて七日七夜の参篭祈願をしていた定照東安上人が、夢の中で「尾張国犬山郷有縁の衆生あり、結縁すべし」「汝が住する処日輪影響あるべし」というお告げを受けたため、創建した。山号ならびに寺号は、東安上人の「日輪、常に満てよ」という願いに由来するものである。
定照院と桃林院という塔頭があったが、次第に寺勢が衰えるとともに無くなった。しかし、江戸から明治期にかけて再度盛り返しが図られた。慶長元年（1596年）に犬山の郷士であった神戸長蔵の寄進で本堂が再建されたのを皮切りに、元禄3年（1690年）には街角の観音堂が移築され、江戸中期には庫裏、寛政8年（1796年）には鐘楼が建てられた。明治期に至っても大師堂や玄関が造られ、犬山城からは山門が移築された。濃尾地震では建物に被害が出たが倒壊には至らず、修復された。
2007年（平成19年）12月5日、本堂や観音堂、大師堂、庫裏、玄関、鐘楼、山門が国の登録有形文化財指定を受けたが、2018年（平成30年）2月1日夜に計約400平方メートルを全焼する火災により、本堂と庫裏、観音堂、大師堂、玄関などを失った。現在境内には、鐘楼と山門のほか中部椿の代表・関戸太郎庵、常満寺椿の原木が残る。本堂の再建計画もたてられている、令和５年度末には本堂完成引き渡し予定（再建中）