祐徳稲荷神社

伏見稲荷大社、笠間稲荷神社（または豊川稲荷）とともに日本三大稲荷の一つに数えられる。年間300万人の参詣者が訪れ、九州の神社では太宰府天満宮に次ぐ参拝客数。稲荷は衣食住、生活全般の守護神として、商売繁盛、家運繁栄などで尊崇されている。
祐徳稲荷神社を創建したのは、鹿島藩主鍋島直朝公夫人の萬子媛。萬子媛は後陽成天皇の曾孫女で、左大臣花山院定好公の娘。直朝公に嫁いだ折、父より京都朝廷の勅願所だった稲荷大神の分霊を神鏡に移して萬子媛に授け「身を以ってこの神霊に仕へ宝祚（皇位）の無窮と邦家（国家）の安泰をお祈りするように」と諭された。
萬子媛は良く直朝公を助けられ、二人のお子様をもうけられたが、不幸にして二人とも若死したのを機に、62歳の時この地に祐徳院を創立し、自ら神仏に仕えられた。以後熱心なご奉仕を続けられ、80歳になられた年、石壁山窟の寿蔵にて、断食して入定（命を全うすること）を果たされた。萬子媛ご入定後も、その徳を慕って参拝する人が絶えなかったと云われる。
以降、萬子媛の諡名から「祐徳院」と呼ばれるようになり、祭神の稲荷神とともに萬子媛の霊験により信仰を集めた。