鐘楼の所に女の幽霊がでていました。嬰児を残して亡くなって乳を飲ませるために出ると言われていました。その噂を聞きつけて旅の画家がその幽霊の絵を描きたいと申し出ました。その画家は丸山応挙だと言われています。その画家は泊まり込んで幽霊が出るのを待っていましたが、なかなか出てくれません。寝ずの番の日々のあと、ついうとうと寝てしまった夜、トイレにでると、鐘楼の所に白いものが立っていて、目を凝らして見ると幽霊だったのです。画家は書くものもなく、自分の指を噛みきってその血でふんどしにスケッチしました。しばらくすると幽霊は消えて、急いで部屋に戻り紙に移しました。その時の絵が今も大事に保管されています。