伊弉冉命を主祭神とする一の宮、速玉之男命を祀る二の宮、天之忍穂耳命を祀る三の宮をあわせて新宮神社と称している。もと新宮郷九ヶ村の鎮守として崇敬された神社である。一の宮は天平四年に熊野より分霊を勧請、もと字熊尾にあったものを延暦年間に当地に移した言う。この時、新宮大明神と号した。二の宮は長和二年、伴光常が鹿島より分霊を勧請したと伝える。三の宮はもと矢川神社の境内社として勝手大明神と号していたものを、承応年間に現在地に移したと言う。
新宮神社は、矢川神社(森尻鎮座)、日吉神社(水口町三大寺鎮座)とともに、杣三社大明神称し杣荘二十二ヶ村の鎮守とされていた。古くは三社合同の祭礼も行われていたと言う。表門は寄棟造茅葺三間一戸八脚門で室町中期文明十七年の建築、昭和三十五年に改体修理が行われた。