延寿寺

天平勝宝元年（749年）、聖武天皇によって遣われされた行基によって、近辺に建てられた四十九の寺院のひとつとして創建された。
平安時代には天台宗の寺院として、発展を続ける天台宗とともに寺も隆盛を極め、山の中腹に本堂など堂宇が、山麓には西行坊・千日坊・覚前坊・善満坊・善徳坊・来徳坊・来福坊・福泉坊・福蔵坊・実蔵坊という十の坊（塔頭）が建てられていた。また境内には末寺として静林寺というものもあった。現在も地名にこれらの隆盛を伝える蓮池・南大門・北大門というものが残る。
天正年間に至ると織田信長の兵火を受け、ある僧に救出された本尊以外はすべて失われた。本尊は荒神山の堂（当時は神仏習合の荒神山奥山寺という寺であった）に安置された。
焼失後40年ほどを経て、山麓の古老たちによって再興が図られ、本尊を新築の堂に移し、永源寺81世・如雪文岩禅師を迎えて再興させた。
文岩禅師の弟子・拙心正千禅師がこの寺の住職を継いだ。正千禅師のときには多くの帰依を受け、井伊家や井伊家家老・中川琳庵などの庇護を受けた。