余浄寺

延喜年間（901年 - 923年）、宇多天皇の近臣であった橘良利の子・一乗法印が、醍醐天皇菩提のための諸国巡礼中に当地を縁のある地として、真言宗の寺院として創建した。寺には醍醐天皇の諱から清水山金剛覚寺という名をつけた。
度重なる戦乱で荒廃し、寺宝や記録も失われたためこの後しばらくの間の歴史は定かではない。
建保年間（1213-1218）、土岐光俊が近辺に城を構えた。このとき寺を菩提寺として定め、本堂を再建した上寺領を寄進した。光俊の子孫・大塚掃部頼家は南北朝のときに南朝方で活躍した。
頼家の5代あとの光圀には教政と熊二郎の子があった。熊二郎はわずか3歳で早世してしまい、兄の教政は長子・政治に家督を譲って出家した。法名は順性とした。順性は高野山参詣の途上である明応5年（1496年）5月8日、山科本願寺で蓮如上人に帰依し、釈本西の名と阿弥陀如来像を賜った。順性は寺に戻ると寺号を余浄寺と改めた。石山合戦にも参戦して戦功をたて、顕如上人から十字名号を賜っている。
8世までは東辻之内（更屋敷）にあったが、寛文11年（1671年）に現在地へ移転した。
現本堂は大正5年、現庫裏は昭和47年に再建されたもの。