千葉県安房郡鋸南町にある勝山城は対北条氏のために築かれた里見水軍の基地です。標高80メートルの八幡山に築かれ、眼下に勝山湊を臨むことができます。険しい独立丘陵を利用し、岩盤を削り残して土塁や石塁を設け、尾根上に堀切を入れ、城塞化しています。南西山麓の「水浦」には船溜まりがあったと思われており、その水浦に向かって削平した曲輪がいくつか見られることからも、船着き場や、そこにいた水夫の存在を想像することができます。勝山城は戦国期の典型的な海城で、内房を支配していた内房正木氏の城でした。勝山城を「新地」とする書状も残っていることから、三浦半島に蟠踞する北条水軍との戦いの拠点として新たに城の間に位置する勝山が勝山城に築かれたと考えられます。